☆別姓訴訟を支える会 メールマガジン☆第136号  2025年7月29日

みなさんこんにちは。
別姓訴訟を支える会事務局です。
毎日暑いですね。

今回は、三浦弁護士によるメルマガ第134号の「札幌地裁・第3回期日のご報告【前編】」に続き、後編をお送りします。
まだ前編を読んでいない方は、ぜひそちらを読んでからどうぞ!
https://bessei.net/mail_magazine_134/

■ 札幌地裁・第3回期日のご報告【後編】 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・

「では裁判所の方から──」と、ついに山が動き始めました。

裁判長は、
「被告は、平成27年判決及び令和3年決定から最高裁判例を変更すべき事情の有無という観点から審理すべきであると主張しているが、そのような観点で審理をすべき根拠は何か?」
と被告に質問しました。

この質問を聞いて、「そうだ!そうだ!」と心の中で同意していました。
前回も簡単にご説明したとおり、国側のスタンスは最高裁の考え方やこれまでの実例とも異なるものです。
この点について確認する裁判所の姿勢からは、単にこれまでの最高裁の判断を追従するのではなくて、自分の頭で考えようという様子がうかがえます。
クセあり、と思っていた裁判長が、急に頼もしく感じました。

被告側はこうした質問が飛んでくることは予想していなかったのか、少しの沈黙の後、「平成27年判決や令和3年決定が既に出ているので、その判断を前提に審理をすべきという趣旨です」と答えました。
これに対しても、裁判長は、「最高裁が判例を変更する場合、事情変更のみではなく、法的評価、解釈が変わったという理由での変更もあり、実際にこれまでもそのような形で判断が変更されることがあった。なぜ被告が主張するような枠組みで審理することが適当であるかの記載が準備書面にはないので、その点について明らかにするように。」と指示しました。

守山裁判長は、クセはあるが議論好きであり、法的な話であれば色々喋ってくれそうな人だという印象は、この時既に確信に変わります。

それに加えて、裁判長は被告に対して、「通称使用の拡大は、婚姻に伴い氏を改める者が受ける不利益を一定程度緩和するものである」と主張しているが、「緩和」ということは、不利益が解消されるわけではないことを前提とすることでよいかと確認がありました。
この時、裁判長は、日本語の意味としては明らかだと思うが、ともつぶやいていました。

この点について、被告はその場では回答できず、追って書面で提出するということになりました。

上のやり取りを踏まえて、今後の審理の進め方について相談する時間になりました。
こちらからは、被告の主張を踏まえて、まとまった分量の反論をする予定であるとした上で、守山裁判長に対して、質問をしました。
すなわち、第1回の期日や先ほども守山裁判長の口から出た「憲法の解釈が変わった」ということの趣旨について、原告としては、平成27年判決や令和3年決定の判断は誤りであるとか、各判例を前提としても現時点では違憲であると判断すべきという主張をしているが、こうした主張は、裁判長の言うところの「憲法解釈が変わった」という整理をしているのか、それとも裁判長が言うところの「憲法解釈が変わった」というのは異なる意味合いなのかと確認してみました。

これに対して、守山裁判長からは「整理の仕方としては、憲法施行時点において婚姻によって氏が統一されることが憲法違反だという考え方と、憲法施行時点では憲法違反ではなかったとしても、その後の社会、法令の変化等でいずれかの時点でそれが憲法違反になったという考え方がありうる。
仮に後者の場合には、憲法の解釈が変わる前の事情はどういうもので、変えるべき状態が生じた後の事情はどういうものかという、前後の変化の事実を整理していただいた方が、『判断がしやすい』」という回答でした。

『判断がしやすい』というのは審理がしやすいとか、判決文が書きやすいということで、「違憲である」と判断しやすいという趣旨ではないと思いますが、こういう問題意識を具体的に示してくれると、弁護団としても腕が鳴るところです。

私からは、「裁判所の問題意識は理解した。書面としては、(1)夫婦同氏制度は当初から違憲であったが、(2)仮に当初は違憲でないとしても遅くとも何年からは違憲であったと言うような段階的な構成になると思われるが、裁判所の問題意識を踏まえて反論をする」と述べました。
「おそらくそういう構成になるだろうなとは思っています」と返事をした守山裁判長が、少し笑っているように見えたのは、私だけではなかったはず──

 ◆

札幌でのやり取りは、当然、東京での訴訟の書面準備にも活かされることになります。
こうした複数の地域で訴訟を提起し、その相乗効果を得ながら追行できるのも、皆さんの応援あってのことです。
現在、弁護団と原告は、鋭意、反論書面を作成したり、陳述書のブラッシュアップをしたりと準備を進めています。
引き続き、応援をよろしくお願いいたします!

弁護士 三浦徹也

■ 東京地裁・第5回期日のご案内 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・

日時:2025年9月1日(月)11時~

場所:東京地方裁判所 103号法廷(大法廷)
https://www.courts.go.jp/tokyo/about/syozai/tokyotisai/index.html

☆期日後、日比谷公園内の施設で期日報告会を行います。
ぜひお越しください!!

日時:9月1日(月)12時~13時

場所:日比谷図書文化館 スタジオプラス(小ホール)
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/#access

ゲストスピーカー:宮子あずささん(看護師・コラムニスト)

☆東京地裁第4回期日後の報告会動画はこちらです。
https://youtu.be/DTfY1y1FhX8

■ 札幌地裁・第4回期日のご案内 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・

日時:2025年10月1日(水)11時~

場所:札幌地方裁判所 805号法廷(大法廷)
https://www.courts.go.jp/sapporo/about/syozai/sapporomain/index.html

☆期日終了後、期日報告会を行う予定です。
詳細が決まりましたらお知らせいたします。

☆札幌地裁第3回期日後の報告会の動画はこちらです。
(当日は機材トラブルで一部音声が収録できなかったため、字幕つきで編集しています。)
https://www.youtube.com/watch?v=DpiKbiNOdpk

■ 【7月31日締切!!】
「あなたの陳述書、裁判所に届け!動かせ!目指せ一万通大作戦!」━━━━━━━━━・・・・・・

たくさんの陳述書をご提出いただき、ありがとうございます!
選択的夫婦別姓を求める声をもれなく裁判所に届けるため、締切を延長しましたが、その締切も間近となりました。
みなさまの生の声を引き続きお待ちしています!!
滑り込み投稿大歓迎です!!

≪選択的夫婦別姓を求める陳述書 大募集!!≫

第3次選択的夫婦別姓訴訟弁護団では、選択的夫婦別姓を求めるみなさんからの声を裁判所に届けるため、陳述書を集めています。

「陳述書」と聞くとついハードルが高く感じてしまうのですが、日ごろの想いを自然体で書いていただいたものでまったくかまいません。
ぜひ書いてください。

一人ひとりの声は小さくとも、たくさん集まることで大波となり、裁判所を動かします!
動かすのはあなたです!

【対象者】 法律婚、事実婚、未婚を問わず、どなたでもご応募可能です!

【内容】 数行程度でもかまいません。最大4000字。
氏名は人格権であり、現在の民法が定める夫婦同氏強制制度は人権侵害! 
たくさんの声を裁判所に届けましょう。

【詳細】 以下のサイトをご参照ください。
サイトリンクにあるフォームから直接応募可能です。

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【締切】7月31日

【書き方のポイント】

日常的に不便である、困っているという説明だけでは、裁判官に事柄の深刻さ(人権問題であるということ)を分かってもらえない可能性があります。
裁判官は、この問題が人権問題であると認識すれば、憲法問題として考えてくれますが、困っているというだけでは対応してくれない可能性があるのです。
この問題が個人のアイデンティティや個人の尊厳の問題であること、つまり人権の問題であるということを、正面から書いていただければと思います。

また、「たまに」感じるだけでは、たいした喪失感ではないように裁判官に受け取られてしまう可能性があるので、役所、病院、銀行、子どもの学校、クレジットカード決済時、親族の集まり時などなど、戸籍姓での対応を迫られる場面は日常的に多々あり、
その度に、やるせなさや、やりきれなさだったり、不公平感だったり、諦めだったり、怒りだったり、絶望感だったり、色々な感情がわきあがり、それと日々なんとか折り合いをつけようとして生きている、でもつけられない、といったような、
アイデンティティの喪失感の日常性と、具体的にどんな感情が生じているのかが感じられるような記載があると伝わりやすいと思います。

さらに、例えば改姓による苦痛(職場で戸籍姓で呼ばれることによる苦痛)で心身のバランスを崩して職場も辞めたというような、喪失感の大きさが客観的にあらわれている記載も、分かりやすいのではないでしょうか。

このように、それが人権の問題であることを明示すると共に、ご自身の経験や思いについて、継続性・具体性・客観性があると、裁判官に人権の問題であることが伝わりやすいと思います。

【書き方の例】

陳述書例1(長いバージョン)
https://bessei.net/wp-content/uploads/2025/03/%E8%A8%98%E8%BC%89%E4%BE%8B1.pdf

陳述書例2(中間バージョン)
https://bessei.net/wp-content/uploads/2025/04/%E8%A8%98%E8%BC%89%E4%BE%8B2.pdf

陳述書例3(短いバージョン)
https://bessei.net/wp-content/uploads/2025/04/%E8%A8%98%E8%BC%89%E4%BE%8B3.pdf

※ご質問などありましたら、遠慮なくこちらまでメールください。
bessei2018@gmail.com

■ 支える会の連載全20回終了━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・ 

別姓訴訟を支える会では2023年から「全国保険医団体連合会」が発行する「全国保険医新聞」という、主に医師・歯科医師向けの業界紙に「選択的夫婦別姓」の連載を担当し、6月に全20回を終了しました。

選択的夫婦別姓制度の基礎知識から、第1次~第3次訴訟の原告や支える会メンバーの想い、国会での動向の最新情報までを幅広くカバーする、非常に興味深い内容です。

原則、全国保険医団体連合会の会員のみの限定公開なのですが、保団連のご厚意により、連載部分が公開されていますので、ぜひご覧ください!!

最終回は、第1次・第2次選択的夫婦別姓訴訟弁護団長で、現在も弁護団のメンバーとして活躍されている榊原富士子さん執筆「28年ぶりの国会審議」です。

■ クラウドファンディングに引き続きご協力ください!! ━━━━━━━━━━・・・・・・ 

「夫婦別姓も選べる社会へ!訴訟」を支援するクラウドファンディングはおかげさまでファーストゴールを達成しました!
とはいえ、裁判所から判決を受けるにはまだ時間がかかることから、各種活動を継続するためにセカンドゴールを設定しました。
セカンドゴールは1000万円です。
引き続きご協力いただければ幸いです。
訴訟中はいつでもご寄付いただけますので、よろしくお願いいたします。
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000131

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