第三次別姓訴訟原告

原告 上田めぐみ

夫婦別姓がメディアで取り上げられ始めた1990年代、私は中学生で、当時からこの話題にとても関心を持っていました。自分が大人になる頃には、法律は変わっているのだろうと思っていたのに、もう30年以上が経過。2015年の第1次訴訟の判決はあまりにショックで、耳鳴りとめまいがしばらく止まらなかったことを覚えています。
次は絶対に関わって、法改正を実現したいと強く思い、第2次訴訟では支える会の活動に参加しましたが、結果は敗訴。「今度こそ歴史を変えたい!」と第3次訴訟では原告になる決意をしました。
結婚するとき、どちらかが意に沿わない改姓を強いられたら、その苦痛やモヤモヤは一生ものです。みんなが幸せに結婚できるために、選択的夫婦別姓制度が必要です。戦後14番目の違憲判決を目指して闘います。

原告 佐藤 万奈

結婚すると女性って姓が変わるんだ、ということは子供ながらに認識していました。
自分が結婚を考え、名字を変えたくないなと思うまで、改姓が圧倒的に女性に偏り、男性は改姓をしづらい、という不平等さに気づきませんでした。自分が嫌なことを相手にさせることはできないなと思い、仕方なく私が改姓し法律婚をしました。
当時の職場は旧姓の通称使用が認められていませんでした。それでも何とか「佐藤」で働きたいと伝えましたが、旧姓使用ができないのにわがままを言う決まりを守らない人のようにきっと周りの人の目には映っていたこと、自分の名字が次々と消えていく状況を目の当たりにし、段々体調が悪くなり、適応障害と診断され、本当は辞めたくなかったですが、退職せざるを得ませんでした。
その後、私の姓を戻すためにペーパー離婚をし、今は事実婚の状態で2人で暮らしています。
夫婦別姓が選べればこんな思いしなくて済んだのにと強く感じます。
この訴訟は私たち原告、弁護団だけではなく、同じ思いをもつみなさんと共に闘っていきたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。
2人とも改姓せずに結婚出来る制度を絶対に実現させましょう!

原告 西 清孝

私は妻と一度法律婚する際、妻に改姓を強いる形となってしまいました。今ではそれをとても後悔しています。
男性は(自分を含めて)改姓の当事者意識が低く、それが選択的夫婦別姓法改正を遅らせている原因の1つだと思います。この訴訟を通じて、「選択的夫婦別姓は男性の問題でもあるんだ」という実は当たり前のことに気がついてもらいたいです。
最高裁で違憲判決を勝ち取り、法改正へ繋げていきたいです。

原告 黒川 とう子 (仮名)

パートナーの根津充と事実婚をして17年目、中学生の子どもを育てています。
2人で長く一緒に暮らすために結婚したいと思いましたが、今まで慣れ親しんできて自分の一部である姓を変えたくなく、また相手に強要したくもありませんでしたので、事実婚を選択せざるを得ませんでした。
長く家族として共に暮らしていながら、法律上の正式な夫婦でないために、もしもの場合にお互いがお互いの法定相続人になれなかったり、病院での医療行為の同意ができるかがわからないなど、不安が絶えません。税法上の不利益もあります。
不安だらけの、薄氷の上で暮らすような生活はもうたくさんです。同じ姓しか認めない結婚の影にある、混乱や不安、苦悩や諦めに、司法は真正面から向き合ってほしいです。

私が提訴すると伝えると、最近結婚したある年下の友人は「改姓しちゃったんだけど、違和感があった。でもとう子さんの提訴を聞いて、名前を大事にしていいって思えた」と伝えてくれました。自分の名前を大切に思う気持ちは当たり前に、もっともっと大事にされていいし、夫婦同姓も別姓も選べれば、幸せが確実に増えます!
多様な家族を認め合う社会への第一歩にもなるこの訴訟の応援を、どうぞよろしくお願いします!

原告 根津 充 (仮名)

法律婚できないまま約17年、中学生の娘がいます。 パートナーの黒川から、姓を変えないために事実婚を提案されたとき、立場を置き換えて自分が改姓したらと初めて想像してみました。彼女と同じように、自分も喪失感を覚えるだろうと。 
でももう少し突っ込んで想像してみると、彼女が改姓しても当たり前、僕が改姓すればどうしたの?と周囲の反応はきっと違うはずで、彼女の痛みは気づかれるきっかけすら無いのだと思いました。単純に立場を置き換えても足りないんですね。 
多くの方が選択的夫婦別姓制度を待ち望んでこられた時間やご尽力に思いを馳せつつ、娘の代にはこの問題を決して残したくないという気持ちも込めて、原告として精一杯アピールしていきたいです。

原告 新田 久美 (仮名)

明治31年に日本が婚姻に際して夫婦同氏とした際には、当時の西洋文化に倣って、妻は夫の付属物になる、人権を無くすことを目的に始まりました。
それから120年以上経ち、夫婦同氏とする規定を持つ国もそれぞれ改正等がなされ、2014年時点で、法的に夫婦同氏と規定している国家は日本のみとなってしまいました。
名前を変えることには、多大なコストと時間がかかります。そして、それを強制されることは大きなストレスを生みます。今、日本で婚姻する場合は、その多くを女性が負う状況です。
私は海外で仕事をすることも多く、旧姓使用という名の下のダブルネームは不便どころか安全性が担保されないことも身を持って感じています。
選択的夫婦別姓は、誰かに何かを強制するわけではなく、シンプルにオプションを増やすものです。そして、コストの削減と安全上のリスクを最小化する手段だと思っています。

原告 内山 由香里

法律婚により25年ほど通称使用を続けてきました。望まない改姓により、自分の存在を公的に証明する運転免許証、健康保険証、パスポート等の姓を変更せざるを得なくなり、さらには銀行口座や保険などまで芋づる式に戸籍姓になっていきました。結局、通称は肝心なところで使えず、むしろ自分が使いたい生来の名前が本当の名前ではないことを日常的に痛感させられ、不快感や喪失感を突き付けられてきました。私は便宜上、同じ相手との結婚と離婚を3回経験し3回とも改姓していますが、改姓しない側は日常も周りとの関係も1ミリも変わらないので、改姓した側の不利益が想像できない。これが不均衡でなくて何なのでしょうか。何も変わらないまま30年以上が過ぎてしまいました。子どもたちの世代が同じ理不尽に直面することに我慢ができなくて、勇気を出して声を上げることにしました。

小池 幸夫

「この(結婚)話はなかったことにしようか。」
結婚前の妻から「別姓にしたいので婚姻届は出さず事実婚にしたい」と初めて言われた時の私の返答です。文字通りのポンコツ男です。
そんな私の考え方を根底から変えてくれたのが、福島瑞穂さんが書いた『結婚と家族』(岩波新書 1992年)です。今でも妻からは、「私が何度も話したけどわかってくれなかったのに、福島さんの本を読んだだけでがらっと変わっちゃったんだよね」と言われますが、申し訳なかったの一言です。
 先日、この本を再読しました。ちょっと驚きました。
「この本、最近書かれたの・・・?」
もちろん女性の再婚禁止期間の廃止など改善された部分もありますが、多くの問題は手つかずのまま。
「この30年間、日本経済が低迷を続けた要因がここにあったか」と、変に納得してしまいました。

夫婦同氏制度を初めとする社会に残るジェンダー・ギャップの改善に少しでも役立ちたいという思いで、原告に加わりました。
今度こそ違憲判決を勝ち取りましょう!

原告 里子 (仮名)

法律婚をして30数年、ずっと選択的夫婦別姓を待ち望んできました。話し合った上でのこととは言え、改姓による喪失感や、夫の姓で呼ばれる違和感は消えることがありません。

婚姻によって一方だけが改姓しなければならないのは、人権の問題でもあると思います。多くの人が法律婚をしており、ほとんどの女性が改姓していますが、同じ思いの方もいるのではないでしょうか。

だれもが自分の望む姓で幸せな結婚をするために、選択的夫婦別姓が一日も早く実現してほしいという思いで原告となりました。

原告 九郎 (仮名)

現在の日本では、法律婚をしている夫婦がほとんどですが、その全てが同姓になることを喜んで受け入れているとは思えません。私たち夫婦は合意の上で、妻が夫の姓になりましたが、妻の半生を奪ったと最近あらためて気づきました。結婚が一方の改姓を強いることに、あまり疑問も持たず社会生活を送ってきましたが、一方が強制的に改姓させられるのは人権の上でも問題ではないかと考えるようになりました。

退職後、妻と社会問題についてもよく話し合うようになり、日本社会において人権意識がとても低いことを感じています。私たちのような法律婚をしている夫婦にも、別姓をのぞむ方々が少なからずいるはずです。私たちが原告となることにより、思いを同じくする人たちとともに、身近な夫婦別姓の問題から日本社会の人権意識が少しでも向上することを期待しています。