みなさんこんにちは。
別姓訴訟を支える会事務局です。
今回は、前回に引き続き、別姓訴訟を支える会メンバーのクリフジさん寄稿「海外リーガル婚」第2回をお届けします。
■ 【第2回】改姓したくない!でも法律婚はしたい!
そんなあなたに「海外リーガル婚」のすすめ ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・
別姓のままでも法律婚ができてしまう魔法のような「海外リーガル婚」。
私たちはアメリカ合衆国ハワイ州で法律婚を実現することができました。
前回は渡航前にWebで結婚証明書のオンライン申請をする手順までをお伝えしましたが、今回はいよいよハワイに到着してからの手続きです。
(4)「ハワイ渡航後の手続きはどうやるの?」
1)申請書をオンラインで提出してから30日以内にハワイ州保健省に出頭します。
保健省はホノルルのダウンタウンにあり、アドレスは以下の通りです。
1250 Punchbowl Street Honolulu, HI 96813
2)保健省の「Marriage License Office」はRoom 101で、保健省の建物の入口の右側に専用の入口があります。
事務取扱時間は平日午前8時~午後4時です。
3)Marriage License Officeに行くと待合室がありますので、そこにあるディスプレイにオンラインで申請したID番号を入力して、名前が呼ばれるまで待ちます。
(予約は必要ありません)
4)自分の順番になったら、事務室に呼ばれるので、そこでMarriage Agentと呼ばれる担当者から申請内容の確認を受けます。
(同時に年齢確認のためのパスポート提示を求められます)
5)内容に問題がなければ、仮発行の結婚証明書(ピンク色の紙)を出してもらえるので、その場で民事婚事務所(Civil Marriage Office)に電話をして(電話:808-375-3583)その日の「昼の部:正午~午後1時」(もしくは「夜の部:午後5時~6時」)の民事婚結婚式(セレモニー)の予約を取ります。
午前中に証明書が入手できたら昼の部がお勧めです。
(証明書の取得が午後の場合は、夜の部になりますが、その場合手数料が昼の部($100)より$20高くなり、$120になります。これって時間外手当?)
6)予約が取れたら、時間までに民事婚事務所(547 Halekauwila Street #100 Honolulu, HI 96813)に行きます。
保健省から民事婚事務所まではゆっくり歩いて徒歩15分位です。
とても地味でそっけない建物なので、見落とさないように注意してください。
7)民事婚事務所では、ピンク色の証明書を提示して手数料を支払い、順番が来るまで事務所の外で待ちます。
(なんと、待合室はない!)
8)順番が来たら呼ばれるので、式場(といっても四畳半くらいの普通の部屋)に入ると判事さんが司式をしてくれます。
セレモニーは具体的にはこんな感じ。
(だいぶ簡略化しておりますが・・・)
「○○○○は、××××を夫(or妻)として、健やかなる時も病める時も人生を共にすることを誓いますか?」→ 誓います(「I will」でOK)その後いくつかの質問がありますが、諸々の質問に対しては全部「I will」で大丈夫。
9)全部の質問が終わると「あなた方を夫婦として認めます」という宣言があって式は終了。
これで、法律婚が成立しました!
あとは、指定した住所に2~3週間後に結婚証明書が郵送されます。
今回の保健省での手続き、民事婚事務所での式の所要時間は合計45分くらい。
待ち時間を入れても2時間くらいでした。
(もちろん、その日の申請者の数にもよりけりですが)
★「英語でのやりとりは気が重い」と感じる人もいるかもしれませんが、保健省での手続きは基本的にオンライン申請の内容の確認だけですし、日によっては日本人の担当者に当たる場合も。
民事婚事務所でのセレモニーも形式が決まっている(基本は「I will」と言えばよい)ので、あまり深刻に考える必要はありません。
(5)「ハワイリーガル婚のモデルプランを作るとしたらどんな感じ?」
これは、最短日程となる2泊4日の「弾丸ツアー」にするか、観光も楽しむ「標準ツアー」にするかで異なりますが、ここではミニマムな「弾丸ツアー」のモデルプランを作ってみました。
「海外旅行の経験は皆無という訳ではないが、それほど旅慣れているとはいえない」という想定で、フライトはエコノミークラス利用とします。
◆DAY1◆
●夜 日本出発
日本→ホノルル便は家族連れ(それも乳幼児)が多く、中には驚異的な体力で一晩中泣き続けるお子さまもいます。
このような状況に遭遇した時に不愉快な態度や言動をするのは昨今人間性を疑われますので、おとなしくイヤホンを付け映画でも観て過ごしましょう。
もし、静かな機内環境であればできるだけ睡眠を取りましょう。
ネックピローがあると快適に眠れますが、これは自分にフィットしたものを持参することをお勧めします。
●同日午前中ホノルル着
機内で睡眠がとれなかった場合、到着時にはかなり疲労が蓄積している可能性があります。
したがって、到着日にはたくさんの予定を入れない方が安全です。
あまりに疲労困憊であれば、短時間の仮眠を取りましょう。
●午後 保健省と民事婚事務所の場所確認
午後のうちに保健省と民事婚事務所の場所の下見と道順(交通手段)の確認だけはしておきましょう。
幸運にも機内で充分な睡眠が取れた場合は、その後観光をしてもよいですが、基本的には明日に向けて体力を温存するためにも夜遊びなどはせず、早めの就寝をお勧めします。
◆DAY2◆
●午前中 保健省に出頭
できれば午前9時、遅くとも10時までには出発することをお勧めします。
(保健省にはバス、トロリー、Uber、タクシー、徒歩など色々な交通手段がありますが、これはどこに宿泊するかによって異なってきますので、どれがいいかは一概にいえません。)
午前中に保健省のMarriage License Office で結婚証明書の仮発行(ピンクの紙の書類)を受けたら、正午~午後1時の民事婚事務所Civil Marriage Officeでの民事婚結婚式の予約を取ります。
保健省から民事婚事務所までは徒歩15分程度ですので、時間があれば民事婚事務所に行く前に近隣でランチをしてもよいでしょう。
●正午~午後1時 民事婚事務所に出頭して結婚式。その後自由時間
昼の部を選んだ場合、式は午後1時までに全て終わります。(式自体は15分程度)
したがって、午後からは全くの自由時間となります。
民事婚事務所や保健省の近くは州庁舎などの政府機関やカメハメハ大王像など観光名所が色々ありますので、周辺を散歩してもいいですし、民事婚事務所から約2km(徒歩だと30分くらい)のアラモアナショッピングセンターでお買い物というのもいいかもしれません。
●夜 ワイキキ周辺で夕食
晴れて法律婚成立を祝ってお祝いディナーなどはいかがでしょう?
ただでさえ円安で、物価の高いハワイ、しかも20%のチップまで払わなくてはならない外食にはあまり気乗りがしないなら、テイクアウトをしてホテルの部屋で祝宴という手もあります。
夕食の前後におみやげを探す時間を取っておくと、明日の出発時にあわてなくてすみます。
◆DAY3/4◆
●午前 最後の自由時間
フライトの時間にもよりけりですが、日本行きの直行便は大体午後の早い時間にホノルル発なので、遅くともお昼頃までには空港に到着する必要があります。
したがって、最終日の自由時間は午前中のみ。
早起きして散歩、もしくはホテル周辺のカフェで朝ご飯、短時間の買い物程度の時間しか取れないでしょう。
おみやげは空港にも売店がありますので、買い忘れがあればそこでも買えます。
(ただし、街中より値段は高め)
●夕刻~夜 翌日日本着
日本~ハワイの時差はマイナス19時間なので、日本に戻ると1日プラスになります。
復路のフライトは午後~夕方にかけてなので、夜泣きに遭遇する確率は低くなりますが、ホノルル~日本便は家族連れが多いことは変わらないのでやはり映画を観て過ごすか、音楽を聴きながら読書をするという過ごし方をする可能性が高いでしょう。
日本到着は夜になりますので、到着後は速やかに帰宅しましょう。
ミッション・コンプリートの達成感を味わいながら、ゆっくりお休みください。
★ちなみに「2泊4日の弾丸ツアー」の場合、費用は(渡航時期や滞在するホテルなどにもよりますが)、おひとり様往復フライト+宿泊費(2泊)で12万円~15万円くらい。
もし、友人宅やAirbnbなどで安く泊まれたら10万円くらいで賄えるかもしれません。
あとは、結婚証明書申請手数料と民事婚手数料($65+$100)、国内での交通費、現地での食事やおみやげにどのくらい予算を取るかによって全体の予算額が決まると思います。
ちなみに私の場合、航空券やホテルはExpediaやAgodaで探しました。
ハワイは年末年始、ゴールデンウィーク、夏休みはホテルや航空運賃が高くなります。
お勧めは1月のお正月明け~3月初旬、10月~11月あたりです。
私の個人的な意見としては最短の「弾丸ツアー」よりは、せっかくハワイまで行くのだから、せめてあと1~2日追加して、観光やリラックスできる時間を取れたら理想的ではないかと思います。
ともあれ、「別姓リーガル婚@ハワイ」は意外と簡単。英語での手続きや渡航の手間・時間・費用の問題などもあるので全ての事実婚カップルに無条件でお勧めはできませんが、私たちのように「一刻も早く法律婚の証拠を残しておく必要がある」という立場の人たちにとっては、現時点でのひとつの有効な解決策です。
私としては「海外別姓リーガル婚ツアー」を旅行会社に提案して大々的に展開したいところですが、あまり派手に動くと反対派をムダに刺激しそうな気もするので、当面は個人旅行ベースの「海外別姓リーガル婚ノウハウ」を粛々と広めて行きたいと思っています。
(でも、こんなことしなくて済むように、さっさと法改正してくれ~!)
今回のリポートに関して何かご不明な点やご質問がありましたら、支える会までお寄せください。
私クリフジが誠意を持ってお答えいたします。
★クリフジさんプロフィール
1996年の法制審の答申で「もうすぐ法改正」と期待しつつ、事実婚歴かれこれ四半世紀あまり。
ハンドルネームは「日本競馬史上最強の牝馬」から。
「3分足らずのレースには人生が集約されている」と思うガチな競馬ファン。
波乱含みの牝馬戦が好き。
夢は貴賓室でのオークス観戦。
■ 東京地裁・第3回期日のご案内 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・
ぜひ傍聴に足をお運びください。
日時:2025年1月16日(木)11時~
場所:東京地方裁判所 103号法廷(大法廷です)
12時から虎ノ門ホールにて期日報告会を実施予定です。
詳細は改めてお知らせします。
■ 札幌地裁・第2回期日のご案内 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・
雪景色の札幌に、ぜひ足をお運びください。
日時:2025年1月31日(金)10時30分~
場所:札幌地方裁判所 805号法廷(大法廷です)
期日報告会を実施予定です。
詳細は改めてお知らせします。
■ 東京地裁・第2回期日報告会動画 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・
2024年9月20日に行われた、東京地裁・第2回期日の報告会動画を編集しました。
こちらからご覧いただき、いいね!や拡散をお願いします。
原告西さん自ら作ったダイジェスト動画も大人気配信中です!
■ 支える会の連載公開中━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・
別姓訴訟を支える会では、「全国保険医団体連合会」という、主に医師向けの業界紙に連載を持っています。
原則、会員のみの限定公開なのですが、現在、連載部分を公開してくれていますので、ぜひご覧ください!!
■ クラウドファンディングに引き続きご協力ください!! ━━━━━━━━━━・・・・・・
「夫婦別姓も選べる社会へ!訴訟」を支援するクラウドファンディングはおかげさまでファーストゴールを達成しました!
とはいえ、長い裁判期間、報告会の配信を継続し、イベント実施なども考えておりますので、引き続きご協力いただければ幸いです。
訴訟中はいつでもご寄付いただけます。
年末年始のおやすみ期間など、じっくり読んでいただき、ご支援よろしくお願いいたします。
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000131
2024年は3月の第3次選択的夫婦別姓訴訟提訴に始まり、期日や報告会、交流会と、支援者のみなさんとお会いできることが多く、原告や弁護団、支える会一同励まされる1年でした。
NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」にも背中を押され、その後の自民党総裁選や衆議院議員選挙でも選択的夫婦別姓が大きな争点となり、世の中が大きく動き、支援者の広がりも確信したうれしい年でもありました。
本年は大変お世話になり、ありがとうございました。
来年も引き続きご支援ください!!
別姓訴訟を支える会事務局一同