☆別姓訴訟を支える会 メールマガジン☆第46号 2021年2月2日

みなさんこんにちは。別姓訴訟を支える会事務局です。

◆ 今号の内容

・「第2次夫婦別姓訴訟の進捗状況」 ~榊原富士子弁護団長より解説

・訴訟最新情報

・共同声明「私たち法学者・法曹は、選択的夫婦別氏制度の早期実現を求めます」が出されました

第2次夫婦別姓訴訟の進捗状況 ~榊原富士子弁護団長より解説

第2次夫婦別姓訴訟のうち、別姓での婚姻届受理を求めた3件の家事審判の特別抗告審で2020年12月、最高裁第2(岡村和美裁判長)、
第3(林道晴裁判長)小法廷がそれぞれ審理を大法廷(裁判長・大谷直人長官)に回付したというニュースは、記憶に新しいことと思います。
別姓を認めない民法750条の規定と、夫婦の氏の記載を婚姻届受理の要件とする戸籍法74条1号の規定が、憲法に適合するかが判断される見込みです。
民法750条については、2015年の最大判に続き2度目の判断となる可能性があります。

ここで「今、ほかの第2次訴訟の進捗状況ってどうなっていたかな?」と混乱した人もいるのではないでしょうか。
第2次夫婦別姓訴訟は、実は3種類あります。

別姓訴訟を支える会のウェブサイトの更新が滞っているため、最新情報がわからないとお問合せをいただくこともあり、大変申し訳ありません。
榊原富士子弁護団長に現状について解説していただきました。
(体制が整い次第、ウェブサイト情報を更新しますので、もう少々お待ちください。)

国家賠償請求訴訟

東京本庁、東京立川支部、広島の各地裁に提起した訴訟が計3件あります。
すべて最高裁に上告及び上告受理申立をし、2020年12月中に、上告理由書及び上告受理申立理由書を提出しました。
広島事件は最高裁判所第3小法廷に係属しましたが、他の2件はまだ記録が高裁にあり、最高裁のどの小法廷で審理するかは決まっていません。
広島事件も、これからまず最高裁の調査官(裁判官が最高裁の調査官になります)が記録を読まれる時期です。
まだ大法廷に回付されるかどうかは分かりません。

別姓での婚姻届受理を申し立てた家事審判

2018年、東京本庁の家裁に1件、東京立川支部の家裁に2件、広島家裁に1件、計4件の申立てをしました。
それぞれ夫婦が2人ずつの計8人が申立をしています。
これらもすべて既に最高裁に特別抗告しています。
先述した「審理が大法廷に回付された」というニュースはこちらの事案のうちの3件のことです。
申立人の8名は、婚姻届の「夫の氏」「妻の氏」どちらにもチェックをして居住地の役所に提出し、不受理になりました。
この婚姻届受理を求めて申し立てたのが家事審判です。

国家賠償請求訴訟は地裁から始まるのに対し、家事審判は家裁から始まります。
裁判は3審制ですが、審判事件の3審目は最高裁での特別抗告審であり、東京本庁事件が第3小法廷に、東京立川支部の事件2件が第2、第3小法廷にそれぞれ係属しました。
これらが2020年12月、小法廷から大法廷に回付され、15人の判事によって判断されることが決定した、という流れです。

その後、広島事件も少し遅れて最高裁第1小法廷に係属しましたが、まだ大法廷に回付されていません。広島事件も大法廷に回付されると予想しています。

大法廷に回付された理由として、いくつか推測が成り立ちます。
まず、初めての憲法判断となる論点があるため(民法750条のみでなく、婚姻の形式的要件である婚姻届出の要件を定める戸籍法74条1号の違憲性も争っていること、
一次訴訟で主張した性差別ではなく夫婦の氏の合意の有無による婚姻の可否という差別を憲法14条違反として争っている等)。

次に、第2小法廷または第3小法廷の少なくともいずれか一方で違憲判断の結果となった(小法廷5人中3人以上で違憲の判断)ので、
判断を統一するために大法廷に回付した、などです。

ただし、あくまで推測の域を出ません。
大法廷での審理の場合、今年中に弁論が開かれる可能性があると思われます。

婚姻確認訴訟

アメリカ・ニューヨーク州の法律で婚姻している想田さん・柏木さん夫妻が、婚姻を日本で公証する方法がないために提起している訴訟です。
1月27日、東京地裁での長い審理が結審しました。
当日の報告は次号でお伝えします。

共同声明「私たち法学者・法曹は、選択的夫婦別氏制度の早期実現を求めます」が出されました

1月29日、法学者や弁護士らが選択的夫婦別姓の早期実現を求めて共同声明を発表しました。
以下、声明文の一部を紹介します。

「選択的夫婦別氏制度は、生来の氏名と、その下で築かれてきた生き方や人格を大切にしながら、夫婦・家族の絆を作り上げることを望む人々に、その道を開くものです。
夫婦の氏が同じか別かということと、夫婦や家族の絆の強さとは無関係です。
家族の形態や生活のスタイルが多様化しつつある現在の日本では、氏名に対する個人の思いを尊重し、かつ、夫婦や家族の絆のあり方の多様性を認める制度として、
夫婦同氏を望む人には同氏を、別氏を望む人には別氏を選ぶことができるという選択的夫婦別氏制度が必要だと考えます。」

この共同声明は、民法や家族法を専門とする法学者である、二宮周平・立命館大学教授、 犬伏由子・慶應大学名誉教授、 棚村政行・早稲田大学教授、
床谷文雄・大阪大学名誉教授の4人が呼びかけたもので、約1か月で法学者302人、弁護士720人が賛同の声を上げました。

会見で二宮教授は、夫婦同姓が日本の「伝統」であるという反論について
「法制度に伝統はいりません。制度は、人がつくったものですから、社会のニーズに合わせて変えていかなければなりません。それが法律家の役割です。」
と力強く語ってくれました。

担当者より

1月29日の会見の後、二宮教授からいただいたメール。

「法律、法制度、法解釈は、工学と同じく、社会の発展に資するための技術です。
日進月歩で修正していくことに意味があります。だから、伝統は関係ないと言いました。
文化や芸術とは違います。法制度や法律で『伝統』を口にする人は、現状維持によって既得権を守りたいだけなのです。」

胸がスカっとします。反対議員に会う時に伝えられることがまたひとつ増えました。

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