☆別姓訴訟を支える会 メールマガジン☆第49号  2021年4月28日

メールマガジン

みなさんこんにちは。別姓訴訟を支える会事務局です。

◆ 今号の内容

・夫婦別姓確認訴訟 東京地裁の判決(2021年4月21日)ご報告

・判決後の傍聴者の感想

・読者の質問に弁護士がお答えます
■ 夫婦別姓確認訴訟 東京地裁の判決(2021年4月21日)ご報告 ━━━━━━━・・・・・

夫婦別姓確認訴訟について4月21日(水)午後3時、東京地裁において判決が言い渡されました。裁判長は、まず主文を読み上げ、確認の地位を求める訴えを却下し、国家賠償請求を棄却しました。続いて裁判長は、当方の要望に応じ、判決の要旨についても読み上げました。概要は次のとおりです。

(1) ニューヨーク州において、同州の法律が定める方式に従って婚姻を挙行した原告夫婦の結婚は、日本法の下でも、有効に成立している。

(2) 原告夫婦の婚姻関係について戸籍による証明を求める手段としては、戸籍法に基づく家庭裁判所への不服申立が適切である。

(3) 原告夫婦の婚姻関係について証明ができないとしても、原告夫婦の権利や利益に危険や不安は現実には生じていない。「夫婦が称する氏」を合意すれば、戸籍による証明は可能である。

(4) 原告夫婦の婚姻関係は、「夫婦が称する氏」を定めるまでの暫定的なものであるから、仮に、戸籍による証明ができないとしても、国会の裁量の範囲内の事柄である。

裁判所は、当方が判断を求めていた(1)の点について正面から検討し、当方の主張を採用しました。他方、外国で結婚する場合でも「夫婦が称する氏」を定めていなければ結婚は成立していないとの国の主張は、明確に否定しました。

(3)(4)の点は、結論においても内容においても納得できるものではありませんが、(2)の点は、家庭裁判所への不服申立をすれば、別姓のままでも婚姻関係にあることについて記載できる可能性があると指摘するものですので、今後の方針について、弁護団と原告夫婦とで協議・検討します。

なお本判決に関し、戸籍への記載は認められなかったとする報道が一部ありますが、誤りです。本判決は、戸籍への記載ができるか否かについて直接には判断せず、家庭裁判所への不服申立を促しています。以上のとおり、別姓海外婚が日本でも有効な法律婚であることについて、裁判所のお墨付きを得るという本訴訟の最大の目的を果たすことができました。

別姓海外婚をした日本人夫婦について、婚姻関係をどのように証明すればよいのかという点を明らかにすることはできませんでしたが、別姓海外婚が「事実婚」ではなく「法律婚」であることは明らかとなりましたので、コロナ禍が落ち着いて海外旅行ができるようになれば、別姓海外婚を選択する方が出てきてもおかしくありません(すでにそのような声が届いています。)。

本判決は、「夫婦が称する氏」を定めなくても結婚できる例外的な場合を明らかにしましたが、そもそも、「夫婦が称する氏」を定めなければ結婚できないという原則を採用すべき必要性はありません。

本判決が、選択的夫婦別姓の実現に向けて議論を加速させることを期待しています。なお、判決書及び判決要旨はWebサイト https://bessei.net/ に掲載されています。

判決についての弁護団のコメントも掲載しています。

弁護士 竹下博將

■ 判決後の傍聴者の感想 ━━━━━━・・・・・

◇第二次別姓訴訟の原告の一人、恩地いづみさん

「外国での別姓結婚を正式に認めた画期的判決と聞き、いい判決が出て良かったです。今後の議論が進むことを願います。
コロナが収束し、海外に行けるようになったら、別姓を希望する人たちで海外での結婚ツアーを考えたいです」

◇第二次別姓訴訟の原告の一人、山崎精一さん

「先日の日米首脳会談で日米が人権など普遍的価値を共有していることが確認されたばかり。米国での別姓結婚が成立しているとはっきり認められたのに、戸籍に載せないのは基本的人権が守られていないことにならないでしょうか。
今の民法、戸籍法がおかしいということが明らかになったと思います」

◇NPO法人mネット・民法改正情報ネットワーク理事長の坂本洋子さん

「国会での議論をかなり意識しているように感じました。保守的な安倍政権下では、(選択的夫婦別姓制度に賛成でも)自民党幹部の意向に逆らえず、先日の委員会でも『隠れキリシタンのようだった』という発言が自民党議員からもありましたが、菅首相がもともとは賛成派であることが明らかになり、潮目が変わったと思います。国会が変わると裁判所も変わるというのを間近で見ることができました。最高裁大法廷に回付された別姓訴訟にもいい影響を与えるのではないでしょうか」

■ 読者の質問に弁護士がお答えします ━━━━━━・・・・・

Q:海外の方式で行った婚姻が日本法上も有効というのは、実務的にはほぼ確定した取扱いで裁判例もあるようですが、
今回の判決は、どのような点で、過去の裁判例とは異なる意義があるのでしょうか?

A:おっしゃる通り、海外の方式で行った婚姻が日本法上も有効というのは、実務的にはほぼ確定した取扱いです。
今回の判決は、海外の方式で日本人同士が別氏のまま行った婚姻の日本における有効性が国との間で正面から争われ、
重要な争点と認識された上で、その有効性が認められた点が、従前の裁判例とは異なる点となります。

Q:米国ニューヨーク州での婚姻が、「民法750条の定める婚姻の効力が発生する前であっても婚姻自体は、有効に成立している」とした今回の判決は、最高裁判所大法廷に回付された特別抗告3件に対して、どのような影響があると思われますか?

A:先日の東京地裁判決が現在最高裁大法廷に係属中の特別抗告審に対して法的な効力を及ぼすことはないものの、事実上の影響は少なからずあるのではないかと思います。

と言いますのも、先日の東京地裁判決によって、日本人同士であっても、海外の方式で婚姻すれば、日本法上も有効な別氏婚ができるという点が明らかになりました。そして、国は、夫婦同氏は婚姻の実質的成立要件であるという主張を行いながらも、そもそも何故日本人同士の婚姻のみ同氏が成立要件となるのか、その実質的な理由に関する主張を行うことは最後までありませんでした。

そのため、上記の東京地裁判決によって、夫婦同氏を義務付けている民法750条のそもそもの存在意義が問われる事態となったのではないかと考えています。

これにより、当方が特別抗告審で行っている憲法14条違反に関する主張(信条による差別)、及び憲法24条違反に関する主張(立法裁量の逸脱)のいずれに対しても、最高裁は、夫婦同氏の義務付けに実質的な理由はなく、合理的な理由なき差別あるいは立法裁量の逸脱である、という判断を下しやすくなったのではないかと思います。

また、先日の東京地裁判決に対しては、今後判例評釈が続々と出されると思いますので、それらが最高裁の判断に影響を及ぼすこともあり得るように思います。

弁護士 野口敏彦 竹下博將

■ 担当者より ━━━━━━・・・・・

メルマガ担当の夕月です。

今回の判決の報道で、満面の笑みで喜ぶ原告夫妻の姿を見ていただいた方も多いのではないでしょうか。選択的夫婦別姓の議論が進み、世論の関心の高い判決となりました。

ただ、傍聴席ではよく分からず、判決を聞きながら、「いろいろ言ってるけど、要は敗訴かぁ・・・」と残念な気持ちに。
法廷の外に出たら、竹下弁護士から「これが求めていた判決。実質的勝訴」という説明を受けて、「えっ、そうなんですか?」と戸惑いました。

他の傍聴者も「なんだかキツネにつままれたような感じ」。少し遅れて、じわじわと「良かった」と、思いをみんなで共有しました。今回紹介した傍聴者の感想は、そんな時に聞いた言葉です。

せっかくだから、法廷で喜び合いたかったのですが、素人にはちょっと難しい判決文でした。

記者会見後の報告会では、原告の柏木さんが「『法的に結婚は認められているが、戸籍が把握できていない』という弁護団の説明が分かりやすかった」と言い、想田さんが「パソコンの中にはデータがあるけど印字ができないみたいな感じでしょうか」とたとえました。そう言われれば、理解できる気がします。

いずれにしろ、弁護団によると「お二人は今回の判決なり米国での婚姻証明書を持っていけば法律婚の効果が得られるだろう」ということですので、本当に喜ばしい結果です。

海外での別姓婚ツアーが実現するようになれば、ぜひツアーに参加したいものです。コロナが収束したら、支える会でも何かできないか検討してみようと思います!

 
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