☆別姓訴訟を支える会 メールマガジン☆第62号  2021年8月25日

みなさんこんにちは。別姓訴訟を支える会事務局です。

7月7日から8号にわたり、6月23日に出された最高裁大法廷の決定について、別姓訴訟を支える会関係者全員のコメントを掲載してきました。最後は支える会事務局の5名のコメントをご紹介します。

選択的夫婦別姓は歴史の必然。前進あるのみ!

今年1月に元最高裁判事の櫻井龍子さんにお話を伺う機会があり、大法廷回付について見通しを伺ったところ「おそらくは合憲判断では」というお答えでした。「2015年判決からまだ6年しか経っていない。合憲判断をした裁判官がまだ在任している限り、判断は簡単には変わらない」ということがその理由でした。そして、決定は残念ながら櫻井さんの予想通りになりました。

しかし、今回も4人の裁判官が違憲判断をしています。三浦守裁判官、宮崎裕子裁判官、宇賀克也裁判官、草野耕一裁判官の見解はいずれも非常に説得力があるものです。社会には「多数決では決められない」ということがいくつもあり、選択的夫婦別姓もそのひとつです。 基本的人権である氏名権が一部政治家の「家族幻想」によって侵害されている限り、結婚忌避や少子化は更に進むでしょう。選択的夫婦別姓の実現は歴史の必然です。歴史が変わる瞬間に向けて、これからも一緒に前進して行きましょう!

支える会事務局代表 福沢 恵子

今日の少数意見は明日の多数意見に!

第1次裁判原告で今は支える会副代表の小国です。第2次裁判でも負けてしまったことはとても残念です。あー、まだ私が正式に元の名を取り戻せるのは先か…娘が結婚したいと思った時に間に合うかしら…という思いです。

ただ、判決文を読むと、特に違憲をいう「意見」、判決の結論に異を唱える「反対意見」が分厚くなったことがわかります。
私の手元にある判決書コピーでの比較ですが、1次と2次を比べると、判決文全体の文章量はページ数にして60%ほど増加
(注・しかも2次の方が1ページ行数が4行多い)しており、特に「違憲」の意見が5名10ページから4名42ページに増加して、その中でも「反対意見」をつけた判事は1名から3名に増えています。少数派判事がかなり仕事をしたな、と思う内容です。

第1次は結婚改姓した女性が原告の中心だったため女性の社会進出による変化等が書かれましたが、第2次は原告全員が事実婚夫婦で闘い方もそれで構成したためか「結婚とは」と論じています。多数派は「氏のことは結婚というパッケージの一つ」と中身に触れないことを言い、違憲をいう判事は、結婚は国の制度以前に自生的に成立するものであるとか、家族の形は多様化していると言っています。

また第1次の後に最高裁判事までも公的に旧姓が使えることを認めた「旧姓使用の拡大」の流れがあり、まさに宮崎判事はそのために宮崎の名で判決が書けたわけですが、この拡大が却って第1次判決で言われた「夫婦を示す同氏」を骨抜きにする流れになっているという所を突いたりもしています。旧姓使用者にとっては我が意を得たりと思う部分でした。

女性差別撤廃条約違反について、元の英文の表現まで文中に引用して、条約の国内的な有効性を丁寧に論じているところがあり、英文での条約文に詳しい判事がいるから書けることのようにも思われて、判事はいろんな背景の人がいた方がいいなあとつくづく思ったところです。

上から目線で制度を語る多数意見に対し、地べたに足をつけた一般人の目線からこの問題に丁寧に切り込んだ違憲・反対の少数意見が前回よりも内容的にパワーアップしていることは確かです。「今日の少数意見は明日の多数意見」というのが本当かも!と思いながら、今後に期待をしたいと思います。

支える会事務局副代表 小国 香織

多様性のない司法の機能限界を感じる決定

今回の司法判断で、司法には多様性がない事を改めて認識しました。裁判官の殆どが高齢の男性。若年層や異性の想いにはなかなか理解が至らないと想像します。また、最高裁判所裁判官は、弁護士枠、裁判官枠、外交官枠など出身母体から推薦を受ける名誉職のような存在であるため、必然的に年齢が高くなります。出身母体の男女比率が均等でない為、必然的に男性が選出される可能性が高くなります。つまり、出身母体における要職を男性が占めていることを体現した世界が最高裁判所裁判官の構成になります。

従って、司法に選択的夫婦別姓の直接的な糸口、つまり違憲判決を求めることは、現状、難しいと考えます。とはいえ、訴訟を起こすことは無意味ではありません。世論の目に留まるようになり、報道の取り上げ方も以前とは比べ物にならない程、大きくなってきました。

まもなく衆議院選挙が行われます。選挙における焦点としても選択的夫婦別姓が取り上げられています。選挙は、間接的ですが司法に対する意思表示になります。選択的夫婦別姓を支持する候補者が一人でも多く当選するように、皆さまの身の回りでも、選択的夫婦別姓についてお話しください。

支える会事務局 知念 俊成

あぁ、そんなもんか

決定を聞いた時の感想です。

裁判官の男女比、年代を見ると、とても違憲の判断は出ないように思いつつも、もしかしたら・・・という期待もわずかにありました。まがりなりにも学生時代、家族法をかじった身としては、司法は少数者を救済する役割があると信じてきましたが、その想いは2015年判決に続き、2度も打ち砕かれました。

こんなにも世論が盛り上がっているのに、事情変更はないとのこと。いえいえ、裁判官の頭が追いついていないだけでしょう。記者会見に来たメディアの数、すごかったですよ。

法改正をしてもまったく不利益のないみなさま、どうか私の幸せを邪魔しないでください!

まだ国賠訴訟の判決がありますが、もし第3次訴訟があって、条件が合うなら、私は原告になりたいです。その前に国会が動いてくれたら、言うことないですけどね。

支える会事務局 上田めぐみ

時代錯誤の最高裁

毎週、NHK大河ドラマ「青天を衝け」を見ています。幕末から明治へと、まさに日本の転換期が描かれているわけですが、その中で「いつの時代もこういう人たちがいるのね」と思うのが、血気盛んな一部の侍たち。世界の実情や時代の流れを知らずして、頑なに「攘夷だ!」と叫ぶ姿が、なにやら選択的夫婦別姓制度導入に反対する人たちに重なって見えてくるのです。

パリに渡った幕府使節団がまげを落とす時も、主人公の篤太夫(渋沢栄一)は喜々として洋装になり、先進国の技術や民主主義の考え方、経済の仕組みなどについて柔軟に吸収していきますが、一部の侍たちは辞世の句とともに大げさな断髪式。「もう帰る」と言ってパリを後にする者もいました。

選択的夫婦別姓の議論で「伝統を守るべき」と主張してくる人に対し、サイボウズの青野慶久社長が「明日からチョンマゲな」と返したツイッターを思い出します。そもそも夫婦同姓は明治の終わりごろから始まった制度なので、当時の侍たちも伝統と考えないかもしれませんが・・・。

今回の最高裁の判断も時代錯誤なチョンマゲものでしたが、歴史を見れば、選択的夫婦別姓制度を日本で取り入れる日は近いと思っています。頑張りましょう!

支える会事務局 夕月

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