☆別姓訴訟を支える会 メールマガジン☆第66号  2021年10月14日

別姓訴訟を支える会事務局です。

メルマガ第63号より、6月23日に出された最高裁大法廷の決定について、専門家から出された評釈を紹介しています。
今回は犬伏由子先生の評釈について、弁護団の川尻恵理子弁護士が解説します。

◆◆◆

こんにちは。弁護団の川尻恵理子です。
いつもご支援をどうもありがとうございます。

さて、今回は、判例解説シリーズ第3弾として、慶応大学名誉教授の犬伏由子先生による令和3年6月23日最高裁判所大法廷決定の解説(TKCローライブラリー。以下「本解説」といいます。)をご紹介いたします。

犬伏先生は、選択的夫婦別姓制度の導入に意欲的に取り組まれており、今年4月21日にも、法学者・法曹による「選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める」共同声明文と賛同署名簿を、当時の丸川大臣に手交されました。
https://note.com/legal_scholars/n/nf7e6a62a1f14

本解説は、まず決定(多数意見)の要旨や事案の特徴等を紹介した後、以下の個別の論点ごとに、多数意見・補足意見と反対意見の見解の相違を解説しています。

【1】氏の法的性質

多数意見及び補足意見は、平成27年大法廷判決に依拠するのみで、改めて言及しませんでした。
対して、三浦意見は、氏を「個人の重要な人格的利益」と位置づけています。
また、宮崎・宇賀反対意見は、氏は憲法13条の保障する人格権に含まれると判示しています。

【2】婚姻の自由の制約

補足意見は、
(1) 憲法24条1項は、法制度のパッケージとしての法律婚の自由を保障し、法律婚の内容には適用されない、
(2) 民法750条は法律婚の内容(婚姻の効力)を規定しており、「婚姻の成立段階で夫婦同氏とするという要件」は、「婚姻の効力から導かれた間接的な制約」に過ぎない
としています。
対して、三浦意見は、憲法24条1項による婚姻合意は、個人の幸福追求に関し重要な意義を有する意思決定とした上で、本件各規定(民法750条及び戸籍法74条1号)は氏の維持に係る重要な人格的利益を放棄しない限り婚姻できない点で、婚姻の自由な意思決定の制約に当たるとしています。
また、宮崎・宇賀反対意見も、憲法24条1項の婚姻は、国家が提供するサービスではなく、社会的に認められた人間の営みを意味し、当事者の自由かつ平等な意思決定を同項の趣旨に反して不当に侵害する場合には、侵害を生じさせる限度で違憲無効とされるべきとしています。

【3】立法裁量の限界

三浦意見、草野反対意見は、憲法24条2項(個人の尊厳と両性の本質的平等)に基づく立法裁量の限界という観点から違憲判断を行っています。
また、三浦意見は、例外を許さない夫婦同氏制の合理性が問題になるとして、憲法24条2項適合性の判断基準を、夫婦同氏制の趣旨、目的と、その例外を許さないこととの実質的な関連性ないし均衡の点に置いています。
そして、本件各規定について、法が夫婦別氏の選択肢を設けず、婚姻の自由を制約している状況は、個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らし、本件処分の時点で既に合理性を欠いており、憲法24条に違反するとしています。

【4】別氏での婚姻届の受理

別氏での婚姻届の受理を認めるべきかどうかについて、三浦意見は、法の欠缺があり立法措置が必要として、これを否定しています。
対して、宮崎・宇賀反対意見は、届出の受理を命ずべきとしました。
犬伏先生は、婚姻届出主義(民法739条1項)の下、婚姻届の受理により婚姻は成立し、戸籍の記載は婚姻の成否には関係しない以上、手続法である戸籍法が整備されていないことによって、実体法による婚姻の成立を制約すべきではないと、結論付けています。

本解説では、論点ごと分けて、多数意見・補足意見と意見・反対意見の考え方の違いがどこにあるのか、整理・分析されています。

また、犬伏先生のご意見は、どちらかというと注の方に密かに書いてあったりします。

弁護団は現在、こういった判例評釈を集めて、次の闘いのヒントにすべく作戦を練っています。

選択的夫婦別姓制度は、必ず実現します。
皆さん、一緒に頑張っていきましょう!

弁護士 川尻恵理子

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