☆別姓訴訟を支える会 メールマガジン☆第68号  2021年10月26日

メールマガジン

別姓訴訟を支える会事務局です。

10月19日、選択的夫婦別姓制度を求める国家賠償請求訴訟3件に追加証拠を提出しました。
弁護団の川見未華弁護士が解説します。

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いつもご支援をありがとうございます。
10月19日、国家賠償請求訴訟3件(いずれも最高裁小法廷)に、追加証拠を提出しました。

本年6月23日に婚姻届受理申立事件における最高裁大法廷の決定が出ましたが、その後、国賠訴訟は動きがなく現在に至ります。
そこで、できる限りの審理は尽くしてもらいたいということで、今回の追加提出となりました。

追加で提出したのは、旧姓の通称使用の限界に関する資料2点、各自治体の意見書と意見書一覧表、最大決に関する判例評釈4点です。
以下、簡単にご紹介します。

●自治体意見書と意見書一覧表
この9月議会でも、たくさんの自治体意見書が可決されました。
今回追加提出したのは10月15日採択までの61通。これで、本訴訟で提出した意見書は、合計219通となりました。
証拠提出の度に、全国にまたがるたくさんの追加意見書があり、証拠作成作業をしながら、
1つ1つの意見書採択にどれほど多くの方がエネルギーを投じて実現されたかを思って感動しつつ、時代の変遷を感じ取っています。

●旧姓の通称使用の限界に関する資料
内閣府男女共同参画局の計画実行・監視専門調査会(2021年9月30日開催)での配付資料をピックアップして提出しました。
旧姓の通称使用は、企業によっても取扱いがバラバラですし、限界があり、数々の困難事例があることを示しました。
下記の中の3-3と3-4の資料です。

計画実行・監視専門調査会(第3回)議事次第 | 内閣府男女共同参画局
内閣府男女共同参画局のホームページです。...

3-4はアンケートで寄せられた多くの事例がきれいに表にまとめられてあり、これを作成くださった男女共同参画局の職員の方に感謝です。

●最大決の判例評釈(1)
木村草太 東京都立大学教授
「同氏合意による婚姻・戸籍作成の区別の合憲性-東京地裁令和3年4月21日判決」
(法律時報93巻9号4頁~)

木村教授は、最大決が、申立人らの憲法14条1項違反の主張について、「その前提を欠く」とだけ述べて切り捨てたことに対して、
「『別姓の夫婦がいるのは受け入れたくない』との嫌悪感を持つ者がいるのは事実だが、それは法的に考慮すべき感情とは言えない。
『同氏合意したカップルと合意しないカップルとを区別することに、合理性があるのか』との問題に正面から向き合えば、合理性がないことは明らかだろう。」
と批評しています。

こちらの論文については、弁護団の寺原真希子弁護士が「メルマガ第65号」で解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

●最大決の判例評釈(2) 巻美矢紀 上智大学教授
「夫婦同氏制に関する民法750条・戸籍法74条1号の合憲性」
(法学教室493巻137頁)

巻教授は、最大決の審査方法について、
婚姻は、「生活と人生を共にすべき伴侶に関する選択」で、自律的決定の中で「最も重要なものの一つ」であるから、
合意以外に要件を課すことは、それが戸籍法も含めた制度の結果であっても、制度の中核の侵害である以上、婚姻の自由の直接的制約として、厳格な合憲性審査をすべきである、
と批評しています。

●最大決の判例評釈(3) 石田剛 一橋大学教授
「夫婦同氏関連規定の合憲性」
(法学教室493号139頁)

石田教授は、最大決の判断について、
「夫と妻がそれぞれの人格的利益を同等に共有できないという夫婦同氏制度が平等原則との関係で抱える構造的な問題点についても法廷意見側からの応答はない。」
と批評しています。

●最大決の判例評釈(4) 松田浩道 国際基督教大学准教授
「国際法の国内的効力」
(判例時報93巻11号79頁~)

松田准教授は、最大決の宮崎・宇賀反対意見について、
直接適用可能性を持たない条約について、国際法学の知見を踏まえて「国家機関たる行政府、立法府及び司法府を拘束する効力がある」と示した点や
女性差別撤廃委員会の勧告を憲法24条2項違反の理由の一つとして位置付けた点
を高く評価しています。

以上、追加証拠のご紹介をさせていただきました。
これからも、ご支援の程、よろしくお願いいたします。

弁護士 川見未華